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H26~フランス=ソルボンヌ大学からの留学報告Vol.4

0b5e77e1fe49b2f10e40b5c4b6aeafa9_M.jpg音楽研究科博士後期課程 音楽学領域2年 七條 めぐみさん

現在私は愛知県立芸術大学とパリ=ソルボンヌ大学による「コチュテル(博士論文共同指導)」のもとで研究を行っており、2013年9月からソルボンヌ大学の博士課程に在籍しています。 私の専攻は音楽学ですが、もともとピアノコースで学んでいたこともあり、演奏も続けていきたいなと思っています。12月にはそうした実技での活動をいくつか行うことができたので、今回はそのことについてご報告します。

1.教会でのコンサート
12月15日、パリの西郊外・マントにある教会で歌のピアノ伴奏としてコンサートに出演しました。コンサートを企画したのはソルボンヌ大学の博士課程で民族音楽学を専攻している平井暁子さん。彼女はフランス歴の長いパリ学生生活の大先輩で、現在は音楽学の研究と同時に、マントのコンセルヴァトワールで声楽の勉強もしていています。11月半ば、平井さんがクリスマスにコンサートを開くことはできないかと話していたところ、地元のプロテスタント教会の牧師を務めるアーペルさんが会場を提供してくださることになり、演奏会が実現することになりました。その後、ヤムナ、オヴェラという二人の共演者が決まり、あとは伴奏者...と思っていたところにたまたま私が居合わせ、平井さんから「そういえばピアノ科出身だったよね?伴奏してくれない?」と、思いがけず演奏の機会をいただきました。
このコンサートでは会場以外すべて手作りでしたので、オヴェラがチラシやプログラムの作成、ヤムナが合わせの場所提供、平井さんが牧師さんとの交渉と全体のまとめ役、というように役割分担して準備しました。(その後、残念ながらオヴェラは体調不良で出演をキャンセルしましたが、とても素敵なプログラムを作ってくれました。)私は「新入り」ということで自分のプロフィールを書いただけですが...数か月ぶりに人前で演奏するために内心かなり焦っていて、授業の合間に大学の練習室に飛び込む日々でした。ちなみに、ソルボンヌの練習室はまずアカウントを登録して、事前にオンラインで予約をとるシステムになっていますが、使えるのは電子ピアノかアップライトピアノ、一人1日2時間までと決まっています。
このようにして準備が進み、いよいよ本番の15日。お天気に恵まれ、パリからマントへの小一時間はちょっとした旅行のようでした。コンサートは16時から始まり、牧師さんが声をかけてくださった地元の方々や、パリから駆け付けてくれた友人たちが30人ほど集まりました。プログラムは平井さんの《フィガロの結婚》の伯爵夫人、ヤムナの《カルメン》で幕を開け、つづいてプッチーニとドニゼッティのアリアを1曲ずつ歌いました。お客さんは毎回暖かい笑顔と拍手をくれましたが、一番盛り上がったのは前半最後のロッシーニの《ヴェネツィアの競漕》からのデュオでしょう。ボートの漕ぎ手を笑う女たちという設定に、二人のコミカルな動作も加わって寸劇のような仕上がりになりました。後半もそれぞれのソロ曲を歌い、最後はクリスマス前ということもあり、マスカーニの〈アヴェ・マリア〉で締めくくりました。終演後には牧師さんのご家族がシュトレン(ドイツのクリスマスのお菓子)とお茶をふるまってくださり、地元の方とも話をすることができ、とても温かい気持ちになりました。フランスでのピアノデビューと言ったら大げさですが、留学先でもこうして演奏し、それを通じて人間関係を築けるのは幸せなことです。そうした機会を与えてくれた友人たちに感謝したいです。

2.クラヴシニスト・クロエとの出会い
クラヴシニスト、というと日本ではあまり馴染みのない言い回しだと思いますが、「クラヴサン」を弾く人のことです。クラヴサンというのは「チェンバロ」のフランス語名で、ルネサンス・バロック時代にはアンサンブルの低音パートやソロ楽器として活躍した鍵盤楽器です。私はバロック音楽を研究していることもあり、学部生の頃から細々とチェンバロを続けています。パリに来てからは指導教授のルグラン先生が「こちらでも弾く機会があるといいわね」と、何人かのクラヴシニストに声をかけてくださっていました。その中の一人であるクロエという女性奏者のおかげで、私もついにこの楽器を弾けることになりました。
ソルボンヌ大学のクラヴサンが置かれている部屋は、通常は先生の監督の元でしか入ってはいけないことになっています。というのも、クラヴサンはピアノと同じような形をしていますが発音のメカニズムは全く異なり、またデリケートな楽器なので、扱いに知識と注意が必要となるからです。そこで、特別に部屋への立ち入りを許可してもらうために、まずクロエに会うことになりました。彼女はソルボンヌの古楽アンサンブル「カメラータ」のまとめ役を務めていて、クラヴサンのメンテナンスも任されています。それと同時に博士課程の学生でもあり、17世紀フランスのクラヴサン曲について研究をしています。実をいうと彼女の研究内容は私が学部時代から興味を持っているドイツ・バロックの組曲と非常に関連が深く、お互いじっくり研究の話をしようと意気投合しました。加えてとても親切でフレンドリーな性格で、「カメラータ」のメンバーからも慕われているようでした。(聞けば、博士課程に入る前に中学校の先生をしていたそうで、頷けます。)
その後、クロエが練習室の責任者に私のことを話してくれて、事前に部屋の使用時間を申告すれば鍵を開けてもらえることになりました。私はまさかソルボンヌでクラヴサンを弾くことができると思っていなかったので、これからどんな曲を弾いていこうかとわくわくしています。また、同じ教室で「カメラータ」の合奏もやっているそうなので、見学して古楽器奏者とも知り合えたらいいなと思います。今後のクラヴサン活動について、またここで続報を書ければ幸いです。

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[問い合わせ]

愛知県立芸術大学 学務課 学生支援・国際連携係
Tel:0561-76-2843
Fax:0561-62-0083
Mail:g-shien[at]mail.aichi-fam-u.ac.jp([at]を@に書き換えて送信してください)