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H26~フランス=ソルボンヌ大学からの留学報告Vol.5

音楽研究科博士後期課程(音楽学) 七條 めぐみさん

こんにちは。パリでの留学生活も早いもので半年が過ぎました。年が明けて、1月には日本に一時帰国し、久しぶりにお会いする愛知県芸の先生方や先輩方・友人たちに元気をもらいました。また、何人かの方から「ホームページの報告読んだよ!」と声をかけていただき、少し恥ずかしいながらもとても励まされる思いでした。2月初めにパリに戻り、中旬にはロンドンの大英図書館に調査へ行くなど、しばらく慌ただしくしていました。今はまたパリに落ち着いて、3月に入ってぐんと暖かくなった春の雰囲気を楽しんでいます。
こんにちは。パリでの留学生活も早いもので半年が過ぎました。年が明けて、1月には日本に一時帰国し、久しぶりにお会いする愛知県芸の先生方や先輩方・友人たちに元気をもらいました。また、何人かの方から「ホームページの報告読んだよ!」と声をかけていただき、少し恥ずかしいながらもとても励まされる思いでした。2月初めにパリに戻り、中旬にはロンドンの大英図書館に調査へ行くなど、しばらく慌ただしくしていました。今はまたパリに落ち着いて、3月に入ってぐんと暖かくなった春の雰囲気を楽しんでいます。
さて、2月半ばに大英図書館に行ってきました。私がいま研究しているフランス・オペラの「アムステルダム版」、つまりオランダで出版された楽譜を最も多く所蔵しているのが大英図書館なので、それを見るためです。ロンドンへ行くには、パリ北駅とロンドンのセント・パンクラス駅間をノンストップで走るユーロスターに乗るのが最短ルートで、所要時間は片道2時間半、チケットは50ユーロから100ユーロほどで買うことができます。イギリスはシェンゲン協定の加盟国ではないので、北駅のユーロスター専用ホームでは空港と同じようなパスポートコントロールや手荷物検査を受けます。そうした手続きを終え、私は久しぶりの英会話におどおどしつつ、アムステルダム版を見られる期待感を募らせて、いざ、電車に乗り込みました。
ありがたいことに、大英図書館はセント・パンクラス駅から歩いてすぐの所にあります。また、図書館の真向かいにはユースホステルがあり、宿泊費や交通費を少しでも抑えたい私には最高のロケーションです!ここに宿をとり、駅と図書館とユースを行ったり来たりして数日を過ごしました。

20140319-01_geijyutuka.jpgロンドン、セント・パンクラス駅前

図書館を利用するには、まずカードが必要です。大英図書館の場合は、インターネットで事前登録を済ませ、当日身分証明書と住居証明を見せれば無料で3年間有効のカードを発行してもらえます。無料ということに驚きましたが、大英図書館は誰でも自由に出入りすることができ、建物全体が研究機関というより博物館や展示会のような位置付けなのかなと思いました。一方でフランス国立図書館は本館のメインエントランスで荷物チェックがあり、少しものものしい雰囲気です。また、音楽部門のある旧館は研究者用カードがないと入れず、このカードを作るのに年間35ユーロ(26歳以上は60ユーロ)かかります。こうした点だけ見ると、フランス国立図書館はやや閉鎖的でお金もかかるようですが、その分「専門家だけが集まる空間に身を置いている」という特別な気分も味わえると思います。また、大英図書館ではカードは無料ですが、コピー代が驚くほど高く...そんな風に、全体のバランスを取っているのかもしれません。
さて、無事に利用カードを手に入れ、いざ目当てのアムステルダム版へ!楽譜資料は「貴重図書と楽譜 rare books and music」という部門に分けられています。私は事前に図書館のサイトの個人ページにアクセスし、資料を請求しておいたので、到着時には書庫から届いていました。初日に見たのはエティエンヌ・ロジェ(1665/6 - 1722)という人物が出版した、ジャン・バティスト・リュリ(1632-1687)のオペラの編曲楽譜です。ロジェはリュリのオペラ13曲とバレエ1曲に基づくアンサンブル組曲を出版していますが、そのうち日本国内の図書館でアクセスができるのは《アルミード》のみです。私は現在、ロジェ版の《アルミード》を中心に研究を進めていますが、他のオペラのアムステルダム版も比較対象として見る必要があります。しかし、フランスに来てもその願いはかなわず...そんなもどかしさを抱えてロンドンにやって来たので、ロジェ版を目の前に興奮を抑えられませんでした。
そうして手にした楽譜は、4つのパート譜からなり、その中にリュリのオペラ、バレエ14曲分の組曲が収められています。一通り目を通した上で複写のカウンターへ行き、コピーをお願いすると、「いいけど高いですよ」という返事が返ってきました。聞けば、1ページあたり70ペンスとのこと。組曲1つが12ページほどで、4パートあるので48ページ。それだけで33.6ポンドかかります。2月のレートで1ポンド=約170円なので、組曲ひとつコピーするのに5712円もかかるのです。当初私は、代表的なオペラはできるだけコピーしようと思っていたのですが、これではそう多くはできません...ひとまず作戦を練り直すことにして、初日は終了しました。
一晩考えた結果、ロジェ版の組曲のうち、他のアムステルダムの出版社からも出されているものに絞り、その中でも2つのオペラを選択してコピーすることにしました。コピーの方法も図書館によって異なりますが、大英図書館では複写カウンターでコピー承諾のサインをもらい、コピー室の受付で料金を払い楽譜を預けたら、次の日までに出来上がっている仕組みです。ただし、これは貴重図書の場合で、一般の書物は利用者自らコピーするようです。

20140319-02_geijyutuka.jpg大英図書館前

2日目からは、フース、ポアンテルといったロジェ以外の出版社の楽譜も並行して見ていきました。こちらは、恐らく楽譜の状態が悪いからだと思いますが、特に貴重な史料(special material)の専用スペースで閲覧しなければなりませんでした。そのような資料を複写させてもらえるのだろうか、とカウンターに聞きにいったところ、マイクロフィルムがあるとのこと!これなら、コピー代も1ページあたり25ペンスとそれほど高くないので安心です。(ちなみに、フランス国立図書館の音楽部門ではマイクロフィルムの複写は1ページあたり30セントで、だいたい等価です。)
こんな風に、4日間の調査の間にリュリのオペラ、バレエのロジェ版、フース版、ポアンテル版を見て、必要な情報を集めたり楽譜を手に入れたりしました。総じて、大英図書館はとても居心地が良かったです。館内はWifiが自由に使え、閲覧室以外のスペースでは飲食もできるので多くの人が自由にお茶を飲んだりしながらくつろいでいました。そう、イギリスはお茶文化の国です。図書館内のカフェでもハーブティーを注文すると5、6種類の中から選べたり、スコーンやパウンドケーキとセットにできたり...と、コーヒー好きのフランスとはまた違う文化だなぁと感じました。また、最終日の土曜日には少し観光をしてきましたが、街中で頻繁に見かけたのが、劇場とチケット売り場に群がる人々。ユースホステルで同室だった女の子もミュージカル《ウィキッド》を見に行く!と言っていて、ロンドンではお芝居がとても浸透していて来たからには見ないと損、という印象を持ちました。(このあたり、パリでは映画や展覧会、ドイツではコンサートが当てはまるのかな...と思います。)
さて、冒頭に書いた通りパリではすっかり春の陽気で、日中は20度近くまで上がるほどです。すでに桜のような花も咲いて、街の人々の気持ちも明るく開放的になってきたのを感じます。ただ、私の感覚では春と言えば新年度ですが、フランスでは特に何の区切りにも当たらないので、そこが少し変な気もします。ですが最近、こちらでの研究生活に慣れてきた分、フランス語や音楽学の知識について自分が抱える問題が浮き彫りになってきました。冬の間は行動範囲も狭くなりがちでしたが、このあたりで心機一転、もっと積極的に、貪欲に勉強していこうと思っています。

[問い合わせ]

愛知県立芸術大学 学務課 学生支援・国際連携係
Tel:0561-76-2843
Fax:0561-62-0083
Mail:g-shien[at]mail.aichi-fam-u.ac.jp([at]を@に書き換えて送信してください)