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H26~フランス=ソルボンヌ大学からの留学報告Vol.6

ef2cbc28bb74bd18fb9aaefb55569150_M.jpg音楽研究科博士後期課程(音楽学) 七條 めぐみさん

4月になり新しい年度が始まって、私は博士課程登録3年目を迎えました。学部の頃から数えると在籍9年目の春です。今の季節、日本は年度の変わり目で慌ただしく落ち着きませんが、フランスではそうした節目には当たらないので比較的穏やかな日々が流れています。
とはいえ春が来て新しい気持ちで何かをスタートさせようと、3月の中ごろから再度語学学校に行き始めました。今回の留学では9月に集中講座、11月に試験のための準備講座を取っていましたが、それが終わってからは一切通っていませんでした。フランス人の友人も少しずつできていたし、大学の授業や日常生活でフランス語を聞き続けているので上達するだろう、と思っていました。ところが、1月に一時帰国し、2月にロンドンに行っている間にフランス語から離れ、パリに戻った後も図書館に籠ってほとんど言葉を発しない日が続きました。そうすると、話すのがますます億劫になったり怖くなったりします。外国語を習得するのは、楽器を習うのと少し似ているように思います。頭だけでも体だけでもだめで、両方使いながらでないと上達しないようです。例えて言うなら私は、ギリギリのところでやっと曲になっていた所で練習をやめ、あっという間に譜読みの段階に戻ってしまったのでした。とにもかくにも「このままでは大変だ!」と思い、強制的に発言するようになる環境を求めて語学学校に行くことにしました。

今通っている学校は以前とは別の所で、15区の住宅街の中にあります。授業料の安さで選びましたが、少人数のクラスで先生との距離が近く、気に入っています。そこで、平日の朝9時半から11時半のクラスに参加しています。行き始めてまだ数週間ですが、鈍っていた「フランス語神経」が少し回復し、自分の話し方の癖も分かってきました。普段フランス人と話している時には会話を理解し前に進めることに集中しているので、ミスや癖などはほとんど構っていられません。でも自分がどんな風に話しているのかを自覚するのは、上達のためにとても大切なことだと思います。
中でも最近実感したのは、「フランス人はまず大きな情報を欲しがるが、私(日本人)は小さな情報から話し始める」ということです。ある日、語学学校の先生が日刊紙の一面のコピーを配って「これは何?」と聞くので、私は質問の意味がよく分からないながらもテーマのことかと思って「エッフェル塔の歴史についての...」と答えたところ、先生は「これは新聞の一面よ!」と言い切ったので、「え?それを聞きたかったの?」と拍子抜けしました。このように「質問の意味は分かるが、何を知りたいのか分からない」という場面にはよく出くわしますが、そういう時は自分が答えようとしている事よりシンプルで根本的な情報を求められています。これはもう言語だけの問題ではなく世界観の違いです。当たり前ですが、日本語とフランス語では文法も語彙も大きく異なり、直訳できない部分もたくさんあります。私が日ごろ、先ほどのような「コミュニケーションの不調」に陥る時は、「日本語モードでフランス語を話している時」で、逆にラリーが続く時は「フランス語モード」に上手く乗っかっている時なのだと思います。その違いが面白くもあり、果てしなく難しいとも感じます。さらに、文章を書くときは事情が異なります。頭の中にあるぼんやりとした考えを徐々にはっきりさせ、言葉を選び、文章にし...というプロセスは日本語の時と同じですが、桁違いに時間がかかり、書いたものが自然なフランス語になっているかどうか自分ではほとんど判断できません。話し言葉と違って残せる分、乗り越えるべき壁も厚いように思います。

さて、留学生活も4月で9か月目になりますが、相変わらず一番の悩みの種はフランス語。こちらにいる先輩からは「そんなに焦らなくて大丈夫」と励ましてもらいますが、本当にそんな日が来るのだろうかと不安にもなります。とはいえ毎日実践するしかないので、語学学校の他にもラジオを聞いたり友人と会ったり、少しでも文章を書き進めたりしています。そんな中で最近、ソルボンヌ大学の事務の方に「フランス語が上達したね!前よりずっと身構えなくなったね」と言われたり、友人に「メグミは時間をかければちゃんと話せるね」と言われたりして、だいぶ頭と耳が慣れてきたのかなと、嬉しくなりました。

今月はフランス語のみについての報告になってしまったので、最後に写真の紹介をします。これはパリ・オペラ座の廊下です。右手にはホールへの入口が並んでいますが、この廊下の向こう側には...なんと図書館があるのです!写真の左奥に「図書館&美術館」と書かれた札があり、そこを入っていくとちょっとした展示スペースの他に、ひっそりと図書館の入り口が鎮座しています。ここは「オペラ座図書館」と呼ばれるフランス国立図書館の別館で、オペラの楽譜や台本、衣装や舞台装置の図が所蔵されています。オペラ座といえば常に大勢の人でにぎわう観光名所ですが、図書館の中だけはシンと静まり返って別世界のようです。この神聖な空気も好きですし、行き帰りにオペラ座の壮麗な建築も見られるので、なんだか得した気分です。(入館は通常有料ですが、図書館のカードを見せれば無料で入れます!)
勉強や研究をすればするほど、越えがたい壁を自覚する毎日ですが、そうしたことも貴重な経験として楽しく頑張っていきたいと思います。

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愛知県立芸術大学 学務課 学生支援・国際連携係
Tel:0561-76-2843
Fax:0561-62-0083
Mail:g-shien[at]mail.aichi-fam-u.ac.jp([at]を@に書き換えて送信してください)