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H26~フランス=ソルボンヌ大学からの留学報告Vol.10

e13895d662c3da6c0f371646a88bd086_M.jpg音楽研究科博士後期課程(音楽学) 七條 めぐみさん

フランスでは9月が新年度で、その前の7、8月は「ヴァカンス・デテ(夏休み)」の月です。学生はもちろん、勤め人も長い休暇を取って旅行に出かけ、のんびり過ごします。パリの観光スポットには人が溢れ返りますが、そうでない所は他の月に比べると閑散とし、いつもとは違う街並みが広がります。個人経営のお店はたいてい1か月ほど休みを取るので、レストランに行ってみると閉まっていた、ということも時々あります。
そんな8月、私は留学生活1周年を迎えました。1年間の成果をご報告させていただきたい所ですが、正直なところ研究の下地を作っているうちに時が過ぎてしまいました。それでも、多いに学んだ1年だったので、手短に振り返りたいと思います。
私が研究しているのは、バロック時代のフランス・オペラの編曲版、とくにアムステルダムで出版された「組曲版」の成り立ちとその受容についてです。留学以前は、フランスよりもドイツのバロック音楽の方になじみがあり、その流れでアムステルダムの楽譜出版に興味を持っていました。そして、パリに来てから組曲版の本家であるフランス・オペラについての研究や史料に触れ、その情報量の多さに圧倒されました。恥ずかしい話ですが、フランス・バロックについての知識のベースがないままテーマだけを設定してしまった感があり、ソルボンヌ大学の授業に出たり本を読んだりするたびに「私はなんて物を知らないんだ!」と愕然とすることばかりでした。
とにもかくにも、本家のオペラのことを知らずに編曲版のことを研究しても説得力がないと、テーマに近い所から勉強を始めました。ちょうど、《アルミード》というオペラの組曲版について研究をしていた所だったので、フランス・オペラの史料の何たるかを知る意味も兼ねて、じっくり取り組んでいきました。6月に学会で発表した頃から、少しずつ視野が広がってきた実感はありますが、新しいものに出会うたびに自分の立ち位置が分からなくなって悩んでしまうこともあります。そうした試行錯誤を続けられただけでも、とても貴重な時間でした。そして、当初は1年で帰国する予定でしたが、今後もっと自分の研究に集中していくためにも、もうしばらくパリに残ることを決意しました。
研究と並んで常に頭にあるのが、フランス語のことです。博士課程で留学をすると、大学の授業も限られ、あとは図書館か自宅で研究をしているので、意識的に外に出ないと会話がなかなか上達しません。もともと頭でっかちな性格ですが、あまり人に会わない生活を続けてますます口が重くなってしまったなぁという実感があります。それでも、言葉に対する苦手意識は弱まったように思います。以前は、フランス人の友達と話す時は「会話の練習をさせてもらう」という気持ちが強く、萎縮していましたが、それでは対等な関係を作れません。私は外国人だから下手で当然!と開き直ったのと、人付き合いは人間性どうしのことだと気が付いたので、むやみに劣等感を感じるのをやめました。大げさですが、私を一個人として尊重してくれる友人に出会ったことが、助けになったと思います。9月の後半からは新学期が始まるので、また修士課程の授業に出るつもりです。去年はほとんど言葉を発しない「幽霊学生(いるだけ)」でしたが、今年はできるだけ発言して自分の殻をやぶっていきたいと思います。

[問い合わせ]

愛知県立芸術大学 学務課 学生支援・国際連携係
Tel:0561-76-2843
Fax:0561-62-0083
Mail:g-shien[at]mail.aichi-fam-u.ac.jp([at]を@に書き換えて送信してください)