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H26~フランス=ソルボンヌ大学からの留学報告Vol.11

音楽研究科博士後期課程 音楽学領域2年 七條 めぐみさん

9月の半ばに、2泊3日でオランダはアムステルダムに行ってきました。今回は資料調査というよりも、街の空気を肌で感じ、そこに生きる人を見ることが目的でした。というのも、私はアムステルダムの楽譜出版について研究しつつも現地に行ったことがほとんどなく、日が経つにつれて「とにかく一度この目で見てみたい」という思いが強くなっていたからです。ならば夏が終わってしまう前にと、慌てて計画を立てて行ってきました。そのようなわけで、今回の報告は旅行記のようになってしまいますが、アムステルダムを歩いて私なりに面白いと思った点をいくつかお伝えします。

1.運河と街の成り立ち
まず、オランダがどこにあるのか、あまり知られていないかもしれません。フランスとドイツの間に、北海に面した三角形の土地があり、北半分がオランダ、南半分がベルギー、さらに南の端のほうがルクセンブルクとなっています。オランダの正式名称は「ネーデルランド王国」と言い、日本でなじみのある呼び名は「北ホランド・南ホランド州」という一部の地域に由来します。アムステルダムは北ホランド州に位置する港湾都市で、パリからは国際特急を使って3時間で行くことができます。
現在アムステルダムがある所はもともと陸地ではなく、アムステル川河口の泥炭地でした。そこをせき止めて作られた街なので、「アムステル川のダム」という名前が付いています。海抜よりも低い所に街を建設するには排水が何よりも大切で、多くの運河が張り巡らされました。地図を見ると、中央駅を中心に扇のように運河が広がっているのが分かります。それぞれ名前が付いているので、アムステルダムでは地上の通りよりも運河の名前が道しるべとなっているようです。間近で見ると、河の水はにごっていてあまり綺麗ではありません。そもそも排水のために作られたので、昔は汚水もそのまま流されていたのでしょう。今は浄化システムが発達して、魚が住めるくらいにはなったそうですが...。
川岸の建物を見ると、家の間口が狭く、屋根の近くに棒が突き出ているのが分かります(写真①)。アムステルダムの黄金時代といえば17世紀。当時、街では一気に人口が増え、厳しい建築規制が敷かれたためにどの家も細長く建てられました。また階段が狭く急なので、商品や荷物が船で届くと先ほどの棒からワイヤーをぶら下げ、直接上の階まで巻き上げていました。今でも重い家具などにはこの方法を使うそうです。

2.トラムと自転車
私が普段暮らしているパリでは、市内の主な移動手段といえばメトロ(地下鉄)です。アムステルダムでは地下を掘ることができないので、車体が軽くて地上を走るトラムが人々の足になっています。さて、知らない街に行ってまず戸惑うのが、交通機関の乗り降りです。今回の旅では「OV - チップカールト」というタッチ式のカードを購入して、そこに料金をチャージして使いました。トラムに乗ると、乗車口にタッチパネルがあるのでカードを当てます。パリではこれで終了ですが、アムステルダムでは降りる時にも「チェックアウト」をしないといけません。市内を移動するだけなのになぜだろう...と思っていたら、その答えは時刻表に書いてありました(写真②)。どうやら、一駅ごとに1セント単位で値段が違うのです。(名古屋で言えば、名駅から伏見までは75円、栄までは121円、新栄町までは168円...という感じでしょうか。)アムステルダム市内の運賃は総じて安いのにこんな複雑なことをするとは、行先以上に1銭も損をしないようにという市民からの要望なのかな、と思いました。日本でも電車の運賃は比較的細かく設定されていますが、パリでは市内は一律、郊外も大まかにゾーンが分かれているのみなので、アムステルダムの徹底した料金システムには驚きました。
そして、トラム以上にアムステルダムに君臨する乗り物といえば、自転車です。オランダの人はとにかく背が高く足が長いので、大きな車輪の自転車を皆スイスイとこいでいます。また、平らな土地が多くかなりスピードが出るので、歩行者がうっかり自転車専用ゾーンにはみ出すと冗談抜きで轢かれてしまいます。パリでもレンタサイクル「ヴェリブ」が浸透していますが、坂が多いので意外とたいへんです。その上、歩行者が赤信号をものともせず渡るのが当たり前なので、こちらの信号が青であっても気を付けないといけません。このように、パリでは徒歩とメトロ、アムステルダムでは自転車で移動するのが最も便利です。同じヨーロッパでもこうした所に生活の仕方の違いが出ていて、興味深いですね

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3.オランダ語
オランダ人は英語が上手なことで知られますが、どうやらドイツ人相手にはドイツ語に、フランス人相手にはフランス語に切り替える人も多いようです。貿易で成り立ってきた国なので、昔からいろいろな国の商人に対応しながら生活してきたのでしょう。しかし、オランダ語ももちろん存在します。単語のつづりを見るとmorgen(明日)、weg(道)などドイツ語と同じものや似ているものが多いです。ただし発音は独特で、上の単語はドイツ語ではモルゲン、ヴェークですがオランダ語ではモルヘン、ウェハとなります。私が聞きかじった印象では、「ほかほかの肉まんを食べながらドイツ語を話している」感じです。一方語順を見ると英語のような感じで、時々フランス語のような冠詞(deなど)も出てきます。つまり、ヨーロッパの主要な言語の特徴がいろいろと混ざっている言葉なのだと思います。まさに街の歴史そのもの。私は、オランダ語を目にすると「うっ...読めない」となりますが、研究している以上新聞くらいの文章は読めるようになりたいと、少しずつ勉強を始めました。あの独特の発音はネイティブの人に教わるしかないので、パリでもしオランダの人に出会えたらチャレンジしてみたいと思います。


最後に、I amsterdamについて紹介します(写真③)。これは「人種や民族にかかわらず、ここに来た人は皆アムステルダムの一員と思える街にしよう」という運動のキャッチフレーズです。私は、アムステルダムの楽譜出版について研究を始める前に偶然この言葉に出会い、その時は語呂がいいなという感想を抱いただけでした。しかし、ヨーロッパの大国に囲まれながら、戦争をくぐり抜け、宗教的な避難民の受け皿となっていた歴史をわずかながら知った今では、アムステルダムだからこそ発することのできるメッセージだなと思います。

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