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H26~フランス=ソルボンヌ大学からの留学報告Vol.12

90e4574ba672d4d34fc6640b601fb5ae_M.jpg音楽研究科博士後期課程(音楽学) 七條 めぐみさん

10月下旬から11月下旬までの約1か月、8か月ぶりに日本に帰国していました。今回は11月8、9日に福岡で開催された日本音楽学会の全国大会で発表するのが主なイベントで、久々の学会発表に緊張しながらも無事終えることができました。その他には、指導教授の井上さつき先生をはじめとする愛知県芸の先生方、日ごろお世話になっている学務課や芸術情報課の方々、図書館の司書さん、音楽学コースの皆さんと久しぶりにお会いすることができて、心温まる日々でした。時折、この報告文を読んでいるよという声もかけていただいて、とても嬉しくなりました。パリに戻ってしばらくは、1万キロも離れた異国にまた来てしまったという寂しさに包まれていましたが、こちらでの日常や研究生活を送っているうちに、だんだん気持ちも落ち着いてきました。今回は、いま私が博士論文全体のどのあたりに居て、どんなことをやろうとしているかを簡単に紹介したいと思います。
Vol.9の報告で、留学の期間について「当初は1年で帰国する予定でしたが、今後もっと自分の研究に集中していくためにも、もうしばらくパリに残ることを決意しました」と書きました。今のところ、現在のビザが切れる2015年8月下旬までは留学を続けるつもりです。なぜ延長したのかというと、博士論文でやろうと思っていることに対して予想以上に時間がかかっているからです。私の研究テーマについてはたびたび触れていますが、日本語では「アムステルダムの楽譜出版におけるフランス・バロックオペラの加工の実態」といい、英語では"The French Music Edited in Amsterdam from 1680 to 1740 : Constitution and Diffusion of a Repertoire of Instrumental Suites"といいます。英語のタイトルの方がより具体的で、直訳すると「1680年から1740年にアムステルダムで編集されたフランス音楽――器楽組曲のレパートリーの構成と伝播」というものです。パリ留学1年目は、アムステルダムで出版された器楽組曲の「構成」に重点を置いて研究をしていました。つまり、バロック時代のフランス音楽(特にオペラ)がアムステルダムでどのように編曲されたのか、ということです。当初の予定では、1年目の間に代表的なオペラのアムステルダム版の成り立ちについて、ある程度の結論を出すつもりでした。しかし、膨大なオペラの史料を把握し、その中から必要なものを選んで見ていく作業にとても時間がかかってしまいました。6月のソルボンヌ大学での発表や11月の学会発表を経て考えがまとまり、どのような史料を見ればよいか予測がつくようになってきたので、今後ペースを上げて取り組んでいこうと思います。
一方、留学2年目に入る頃から、論文のもう一つの柱であるアムステルダム版の「伝播」についても着手しています。バロック時代、アムステルダムが楽譜出版の一大拠点となったことはよく知られていますが、出版譜がどのような人々に購入され、どのような影響を与えていたのかは詳しく語られていません。当時パリやロンドンでも出版が盛んでしたが、まだまだ楽譜は高価で、限られた上流階級の嗜好品でした。それに比べるとアムステルダムの出版譜は、とても簡素に作られ安く販売されていました。そのようなことから私は、貴族文化の時代にありながら、アムステルダムでは市民の楽しみを目的とした楽譜出版が行われていたのではないかと考えています。そこで、貴族のものだったフランス・オペラが、アムステルダムで編集・加工されることによって、多くの人に受け入れられた様子を具体的に明らかにしたいと思っています。このような問題に迫るには、出版社の販売カタログや購入者リスト、新聞・雑誌での広告などが主な資料となります。しかし、アムステルダムの楽譜出版はこれらの媒体がヨーロッパで普及する少し前に黄金期を迎え、衰退してしまったため、その広がりについて知る手がかりがほとんどありません。また私自身、音楽と社会の関係を扱うのは初めてなのでどう進めたらよいか分からず、今はいろいろな先生や先輩のお力を借りながら試行錯誤している所です。
研究をしていて、求めている情報にすぐ出会えることはほとんどなく、面白いほどにハズレが続くこともあります。空振りが多いことはあまり苦になりませんが、博士論文を提出するまでに残された期間はわずかで、タイムリミットとの闘いがあります。もちろん、今後1・2年でアムステルダム版の成り立ちと受容のすべてを明らかにすることはできないので、焦点を絞って計画的に進めないといけないなと、焦りもつのります。今のところ、今年度いっぱいは幅広く調査をして候補を絞り、4月以降には具体的な事例をもとに論文としてまとめようと思っています。時は12月。日本では一年でもっとも慌ただしい時期ですが、パリもクリスマスを控えて心が華やぐ季節です。私の心の内はどちらかというと日本の師走に近く、時間制限とやりたいこととの狭間でおろおろとしています。つくづく「できた所まで公表する」のではうまくいかないのが難しい所だなと感じていますが、論文提出という目標があるからこそ頑張れるものだとも思います。
それでは、写真の紹介をします。今さらですが、私は写真を撮るのも撮られるのもあまり得意ではなく、この報告文に添える写真をどうしようかと毎回悩んでしまいます。今月はやはりクリスマス・シーズンなので、近所のショッピングモールで見つけた季節の風景を紹介します。1枚目は店内に設置されたクリスマスの飾りです。サンタクロースとクリスマスツリーとプレゼントを持った熊さん...日本でも見かける組み合わせですが、テイストが少し違うというか、こちらのサンタや熊はよりリアルに作られています。今はもう見慣れてしまいましたが、昨年の冬に初めて目にしたときはその妙な本物らしさに驚きました。2枚目は店舗の外に生えている木ですが、陽当たりの加減から3色になって、しかも真ん中がハート形になっていたので思わず撮影しました。本当はもっと色鮮やかなのですが...写真が下手ですみません!最後に、今年一年パリで貴重な経験を積ませていただいたことを感謝するとともに、皆様が素敵なクリスマス・年の瀬を迎えられるようお祈りしています。

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Tel:0561-76-2843
Fax:0561-62-0083
Mail:g-shien[at]mail.aichi-fam-u.ac.jp([at]を@に書き換えて送信してください)