学長メッセージ【卒業生、修了生の皆さんへ】
卒業生、修了生の皆さんへ
愛知県立芸術大学学長
戸山 俊樹
卒業生、修了生の皆さん、ご卒業、ご修了おめでとうございます。
心から、お祝いを申し上げます。
新型コロナウィルス感染防止の観点から、卒業式、修了式の式典を中止せざるを得なくなりました。皆さんの晴れやかな人生の一ページを、これまでご支援くださったご家族の方々と愛知県立芸術大学教職員が共にお祝いできないことをとても無念に感じています。
全く先の見えない時代、それが現代だと言う人がいます。今回の未知なる新型ウィルスの出現は、世の中をより一層、先の見えない状態に陥れつつあるようにも思えます。しかし、社会全体が大きな危機に直面している今だからこそ、私たち人間は冷静になって考える必要があります。
私達、芸術に携わる人間もまた、社会の一員として社会のためにできる事は何か、何をなすべきか、今を生きる人々にとって、そして私たち自身にとっても本当に大切なもの、必要なものは何なのかを考える、そんな機会を今、与えられているのではないでしょうか。
芸術には人の心を癒し、観る人、聴く人達に生きる力を与える力がある。
私にはこれまで何度も芸術に救われた経験があります。芸術が人々に及ぼす力は目には見えにくいものですが、聴く者、観る者の心に与えるエネルギーの大きさや強さ、影響力には計り知れないものがあると信じています。そして、だからこそ芸術は面白く、やりがいがあるとも言えるのです。
皆さんはこれから、それぞれの次のステップに進まれます。そんな皆さんに、もしも何か一つ私が言葉を掛けられるとしたら、それは、皆さん自身の芸術に対する情熱を絶やさないで欲しいということです。困難な道を歩み続けられる力や行動の源泉となるものは、情熱に他ならないからです。
私たちの仕事は、他人と競うものでも、その速さを競うものでもありません。如何に長くこの情熱を持ち続ける事ができるか。それが最も大切な事であると、今の私には分かります。
皆さんの新たなステージでのご奮闘、ご活躍を祈念いたします。
卒業、修了、おめでとう!